湯俣温泉 1997/05/23

高校生時代に社会人山岳会へ所属していて、何度か北鎌尾根に通った。でも、その頃はロッククライミングに夢中で温泉を楽しむ気持ちは全くなかった。でも、最近は仲間と行く野天風呂は非常に楽しい。
1997年5月23日  静岡の自宅を2000ジャストに出てバイパス、東名高速、西富士バイパス、朝霧道路、精進湖道路、中央高速、長野道と走り、豊科インターで降り、大町を抜けて2400には予定通り葛温泉を通過。葛温泉から10分ほど先にある七倉山荘前の駐車場に車を止めて、荷物を整理して車(ステージア)の中で眠りに入った。自宅からここまで252Km。
 ここ七倉山荘前が東京電力のゲートがある場所で、この先は許可を得た車両しか入ることができないのです。かなり着込んで寝たのですが、毛布1枚では寒くて0400頃目が覚めてしまい、車のエンジンをかけてヒーターのお世話になってしまいました。

 目が覚めると、0600。駐車場にはもう数台の車が止まっています。車外へ出て身支度を整えています。良く見ると、他のみなさんは釣り支度をしています。そんな時、東京電力のゲートの担当者でしょうか、タクシーに乗って来ました。すぐにそのタクシーの運転手に、0630に乗る旨を伝え予約し、ボクらも登る準備にかかったのです。
 有人ゲートは0630にならないと開かない。今にも泣き出しそうな空。折り畳み傘じゃあなくて普通の大型の傘を2本持っていくことにしました。

0645。高瀬ダムの上部へ到着。この先にも林道は続いていますがタクシーはここまでしか入れません。車で10分〜15分の距離ですが、多分歩いたら2時間以上掛かる坂道です。
            
 いきなり長いトンネル。1Km強あります。まだ身体が暖まっていないためかトンネルの中は寒かった。風も吹き込んできます。このトンネルを出ると直ぐに2つ目のトンネルがあります。この中は暖かい。良く見ると排水溝に流れているのが温水じゃあありませんか!(驚)。そして3つ目のトンネルを抜け、高瀬ダムの貯水湖を右に見ながらゆっくりとおしゃべりしながら歩きます。すごくきれいなグリーン色した湖水。アップダウンがほとんど無い平らな林道が続きます。
 0750。林道の終点。タクシーを降りた場所から4500mと道標に書いてあります。ここで高瀬ダム湖も終わり。前夜諏訪サービスエリアで買ったパンで朝食をとり15分ほどの休憩。
 0805発。ここからは「点線の小径」です。雨もパラパラと落ち始めました。傘をさして小径を行きます。所々山が崩れていて、それを避けるように桟橋状の小径が作られています。
              
0830。東電の避難小屋がありました。中は畳の部屋と土間があって、薪が積み上げられ非常用に準備されています。その後、似たような風景が続きます。この小径もアップダウンがほとんど無く、所々崩れていて小径が桟橋になっています。河原の中を小径が通ってる場所もあります。
 0930。湯俣山荘を左の上に見て通過。湯俣山荘の窓はしっかり合板で釘打ちされています。正面には晴嵐荘が見えています。
 0935。高瀬川に掛かる小さな吊り橋を渡り、晴嵐荘へ。
         
 若い人が1人、テントを撤収していましたが、すぐに荷を背負って降りていきました。晴嵐荘の前には3つ野天風呂が掘られています。一番近いのは手を入れただけで熱い。とても入れる状態じゃあない。その数m離れたところにあるカルピス色をした野天風呂の脇に座り込み湯を沸かしてインスタントラーメンとパンと秋刀魚の蒲焼き缶詰を食べることにした。この風呂には少々苔が浮いている。しかし食べているウチに雨が気になり始めた。風も少々出てきたし、少し寒い。晴嵐荘の裏側の庇の下に退避して風呂に入る準備をする。ボクら2人以外には誰も居ないのである。
 「さぁ〜て、風呂へ行くぞ」
 「え??、あの苔、イヤだな」
 「大丈夫さ、入ってしまえば気にならないよ」
 「そおか」
 「あそこまでスッ裸で行くぞ(笑)」
 「でも、寒いねえ」
 「じゃあ、ここで裸になってレインコートを羽織って、縁で脱ごう」
 「オッケイ」

 ……という具合で2人でスッ裸になって温泉に入ったのです。すごっく気持ちよい風呂でした。底は砂地。カルピス色をして温度もちょうど良くて30分くらい入ってました。その間、セルフタイマーで数枚の写真を撮ったのですが、苔で滑りそうな風呂の縁をスッ裸で出たり入ったりタイヘンでした(笑)。
 1100。雨が強くなってきたので帰ることにしました。天候が良かったら、この先にある地獄・温泉丘なんかを見に行きたかったけど、止めました。
 新緑が雨に濡れて素敵な色を醸し出しています。写真技術がもっとあったら、素敵なショットが撮れるだろうなあ。……とかなんとかしゃべりながら温泉でふやけた身体で帰ってきました。帰路も往路とほとんど同じ時間かかりました。



         
1350。タクシー乗り場着。タクシーの運ちゃんには1500に来て欲しいと言ってあったのですが、電話をかけると10分後には迎えに来てくれました。


 



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