南アルプス 東河内温泉 源泉
以前所属していた社会人山岳会の仲間から静岡市の奥、井川湖のまた奥に「東河内温泉」と言うモノが有ることを聞いてた。しかし、その温泉は山林を管理する某会社の山荘になっていて、外部のモノは使用できないとも聞いていた。そこは南アルプスの南部、白峰南嶺地域だ。
 国土地理院の5万図「畑薙湖」を見ると、その山荘「東河内温泉」の500mほど上流の沢の中に、しっかり「東河内温泉」とは別に温泉マークが付いているのも知っていた。
 
 1999年8月13日

急に思い立って妻と子供(1歳)を車に乗せて山仕度をして東河内へ向かった。毎年この時期は、ヨットで西伊豆とか伊豆七島へ出かけている時期だけど1歳の子供を抱えていては、ちょっと無理である。

 静岡市を8時に出て井川へ向かう。井川の本村を過ぎ、田代のオートキャンプ場も過ぎ、赤石温泉白樺荘方面へ。途中、バス停「東河内」で右折。隆泉橋を過ぎ、しばらく行くと舗装路は終わり、凸凹道になる。ちょっと進むと「東河内温泉」と名前が付いた山荘がある。ここまで2時間強くらいか。

車が1台駐車してたけど、山荘には人はいない。山荘の裏手にある露天風呂を垣根の上から覗いてみたけど、誰もいない。

 沢の中の温泉マークへ行くには、この山荘の近所から沢に降りたいのだが、沢に降りるルートが近所を捜しても見つからない。子供を連れていなければ、ザイルを使って1ピッチで降りることが出来る距離だが、そうは行かない。登るときのコトも考えなければならない。

 もう10分ほど車で進んだトコロに沢へ下る道を見つけた。しかし、沢から離れてしまったようだ。が、ここを降りるしかない。ここを降りると沢を下ることになるがやむを得ない。
 登山の準備、沢歩きの仕度をして荷物はリュックに入れ妻が背負い、子供用の背負子に子供を入れボクが背負う。

階段状の道をひたすら下る。手摺りが付いた整備された階段ですが、一気に沢へ降りている階段です。

帰路はこの階段を上らなくてはならない(泣)。
長い階段。登ることを考えると降りたくない(泣)。でも15分ほどで沢に着くと、そこには小さな吊り橋がかかっている。そして堰堤があり中電の何かの施設がある。吊り橋を渡り、そこから沢を下ることにした。
 本来、沢を下ることは厳禁である。山登りの鉄則である。しかし、今回は沢の状態は分かっている。下ってもOKの範疇だ。
清冽な南アルプス南部の流れ。

足を入れた途端に冷たくて痺れる!。
綺麗な岩の上を飛沫を上げながら流れて行く。

谷は狭いがそれほど困難ではない。
空は狭いが明るい。
ジャボジャボ進む。

小さな滝を巻き、渕の中に入り膝下くらいの流れに入って進む。
 「う〜む、どこにあるんだろう?」
20分ほど進んだあたりで温泉の匂いプーンと風に乗って匂ってきた。

あたりを見回しても、それらしきモノはない。

さらに進む。温泉の匂いが一気に強くなった。

目の前に長い渕が現れてきた腰ほどの深さか。

ちょっと躊躇して巻くルートを捜す。
おもむろに右手上を見ると細いけど30mくらいある滝が落ちてる。そしてその横に小さなヤグラが組まれ、そこから白濁したモノが流れ落ちているじゃありませんか!!。Oh!(驚)。
そのヤグラからは東河内温泉へ繋がっていると思われるゴムパイプが延びています。そして水面から10mほどのトコロにその白濁した水を貯めている湯壷があるじゃないですか。Oh!(驚)。
誰かが作ったのでしょう。コンクリートを使って簡単に岩を組み合わせてあります。感謝!。沢面からだと見にくい場所にあります。
 「あった!。あったぞ!。東河内温泉源泉だぞ!
 岩場を登り、手を入れてみます。温い。堆積物が多い。でも入浴可能だ。4、5人くらいが入れる大きさかな。深さは胸下くらい。
先に私が入り、子供も入れました。いつまでも入っていたいのですが、写真を撮ったりしてのんびりしていたら、空も怪しくなってきました。こんなところで雨に遭うわけにはいかない。それと階段の上りを考えたくない(泣)。
時間があれば、もっと湯船をきれいに掃除して、湯を入れ直して入ろうと思ったけど止めました。

 そのまま帰宅するのは勿体ないので、分岐点まで戻り赤石温泉白樺荘へ寄り温泉を愉しんできました。ここは静岡市営で風呂も無料、20部屋くらいある個室休憩所代金も無料です。


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